「永遠の0(ゼロ)」 読了いたしました。


「永遠の0(ゼロ)」 読了いたしました。

特攻については、先にも自殺・特攻・自爆テロ~殺人・死刑・戦争ということで、
拙ブログで意見を述べさせてもらいましたが、これを読んでその思いをさらに強くしました。

それにしても特攻とは国のために、戦争を終わらせるために行ったこととはいえ、
生存率が文字通りゼロの作戦です。
(ちなみにタイトルは生存率ゼロのゼロではなく、零線のゼロ)。

先の大戦が、止むに止まれぬ戦争だったという見方もある一方で、
特攻は下策中の下策だったことを痛感いたしました。

通常の国家において、軍人というのは意外に必要以上の戦はしたがらないものといいます。
湾岸戦争の時でも、戦争をやりがっていたのは軍事産業にパイプのあったブッシュであり、
軍人出身のパウエル元国務長官はやりたがらなかったそうです。

そりゃ、戦になれば手塩にかけて育てた兵隊さんが、誰かしら死にますからね。
朝食の時には冗談を言ってた人間が、夕食にはいなくなるのですから、
まともな神経を持った人間であれば、避けたがるのは当然です。

それを命を惜しむは軍人の恥と言い、簡単に兵隊の命を散らす特攻という作戦は、
指示をした者の人間性を疑わざるを得ない下策です。
もとより志願兵ならべ命の覚悟は出来ているでしょうが、
だからと言って簡単に殺してしまうのは、明らかに上層部の無能でしょう。

国のための人材は散らさずに済ませるのが上官の勤めのはずなのに、
部下に特攻を命令しながら、自分たちは腹を切ろうとしなかったというのが、
あらためて衝撃でした。

気になったのがそんな当時の軍部上層部と、現在の高級官僚らとの共通点が、
この本では記されています。
さらに言えば本書でも出てくる、戦時中はさんざん戦争を煽っておきながら、
終戦と同時に変わり身をして、特攻は犬死だった、日本が悪かったと鞍替えした、
某大手新聞社の体質とも似ていますね。

まあ軍部上層部の試験も、高級官僚の試験も、どちらも中国の科挙にルーツを持つものです。
中国の官僚は、皇帝を守るためなら何でもしますが(同時に保身も意味する)、
一兵卒の命などは紙くずほどにも思わないのが当たり前の世界。
そんな遺伝子が、当時の軍部上層部や現在の高級官僚に、
脈々と伝えられたとしても不思議ありません。

新燃岳の噴煙を見れば、天災は人の都合などに何の関わりもありませんが、
人の世で人の命を使い捨てるのは下の下です。
人の命は地球より重いとは、笑止千万の世迷言ですが、
命は簡単になくなってしまうものだからこそ、
軽んじてならないのと思いました。

興味のある方は、ぜひご一読を。

「永遠の0(ゼロ)」 読了いたしました。” への9件のコメント

  1. 私も読み終わりました
    私もちょうど読み終わりました。
    私はタイトルの「0」は、零戦の0であると同時に、「零生必死」の0なのではないかと思いました。
    まず間違いなく生き残ることができない作戦、という意味で。

    飛行機には(ましてや乗ることのない戦闘機には)まったく興味のない私でしたが
    米軍機が人命重視の思想に貫かれている一方で、零戦が人命軽視の戦うための戦闘機だったのか~というところに、「あ、やっぱり」感を抱きました。

    終戦直後の満州その他の地域での棄民や、イライラ戦争のときに自国民を迎えに行かない今はなきナショナルフラッグ。私も経験したインド洋大津波のとき、先進国で自国民救助デスクを空港に出していなかったのは日本だけ。

    という今も昔も切捨て癖のあるお上から生み出された特攻だったわけですが

    一方で強く感じたのは

    自分の死になんらかの意味を見出せる最後はそれはそれで幸せだろうな、と。

    一見意味のない作戦が、救うためにできなかった沖縄県民への殉死だというのも、ありそうな話で

    まあばかばかしくも日本人らしいといえば日本人らしいなと思いました。

    戦艦大和の最後もね。

    ばからしいと言えばばからしいけど、愛すべきものもいっぱいあって、なかなか複雑です。

  2. 伝家の宝刀
    刀は抜いたらお終い、如何に抜かずに問題を解決するか、ですね?
    諸問題には「力」に裏打ちされた「知恵」の発動です。
    それでダメなら、抜いて、すかさず一刀両断の覚悟でしょう。

    この著作の裏付け資料、多量だからいい、っとは言えませんが、大したもんだ。
    事実、歴史に支えられた小説です?

    上司は胃に孔が開くほど決断には悩んで悩んで悩み抜いて欲しいですね。
    これまではどうも、最後は「えいっやぁ!」の丁半博打に似てるんですね、これが。
    これが敗因でしょうか。

    TPP、いきなりですが、絶対ダメです。
    安い米、食料品が入って来て、競争も活発に成る、とか聞こえますが、
    それは「汚染」が無い前提で成立する御託です。
    燻蒸剤(虫除け)に漬かった輸入食物、食べたい人居ますか?
    100歩譲って、しっかり管理されてれば良いけど、
    重金属(Cd、有害化合物 etc.)で汚染された大陸の食料、アッシは死んでも食いません。
    南は確実に土壌汚染有り、北もこれからだし、
    「奥」は核実験の放射線汚染だし、井上靖はシルクロードで被爆して癌発症でしたね???
    まあ、ビンボー人は知らず知らずに食べちゃってるんですが、行政に騙されて?
    経済評論家ってこういう天邪鬼な考えかたってしないんですね、高貴だなあ。

    土地所有と水利権は別物、ということで、少しホッとしてますが、
    油断は遺憾!
    胃潰瘍寸前まで全国民で水資源管理には悩みましょう! Pay attention!!!

    農産物は大量の水と土が太陽光線で化けた物ですよ。

    ああっと、またアッシのお得意の脱線でした。

    更に脱線、17日(木)(JST)の深夜、太陽からのフレア磁気嵐(でけーぞ)が届きます。
    まあ、なんとも感じないで、嗤い話できっと終わりますが...。
    ニューズには成らんでしょう、少なくともニッポンでは。
    でも、農産物遺伝子に悪戯するかも知れません??? でもって、後を引くかなあ???
    そんな事態からも、TPPは、厭だっちゅうたら嫌じゃ!?

    失礼いたしました。

  3. 読んでみます!
    仕事中に画伯のblogのタイトルをチラ見して、早速Amazonで注文しました。明日来ます!

  4. 零線の設計者も
    あ@花さん、おはようございます!

    ああ、インド洋大津波の時もそうでしたか。
    お上の切り捨て癖は、日本大使館などが
    何もしてくれないことで有名ですが、
    オーストラリアとか東南アジアで、麻薬の冤罪で捕まった人なんかそうですね。
    お前の人生なんて、どうだって良いって?

    まあ、エンジニアという人種は、
    やりはじめると、とことん追求したくなる人たちですから、零線の設計者も人命のことは忘れてしまったのかもしれませんね。

  5. 農業出身の高級官僚
    お頭さん、おはようございます!

    TPPダメですか。
    やっぱりね。

    昨日、例のレポートを書いた友人と話をしたのですが、
    アメリカと日本だけで、大半を占めるシステムについて納得のいく答えは得られませんでした。

    ただ、第一次産業については、かりにTPPを行わなかったとしてもジリ貧だろうなと思いました。
    漁業の平均年齢64歳、農業の平均年齢66歳ではね。
    何か強力な起爆剤が必要ですが、
    保護するだけでは産業をダメにします。

    やはりここは農業出身の高級官僚が必要か?

  6. まいど
    naotさん、おはようございます!

    一読の価値ありです。
    どうぞお楽しみのほどを!

  7. 再度汗顔の至り
    >お頭さん、永遠のゼロ、すすめていただきありがとうございました。

    農業は、徴農制かな?

  8. 参謀だった人たち
    お頭さん、おはようございます!

    最近、大東亜戦争の参謀だった人たちが何をやっているかという本が出ているそうです。
    書名は失念しましたが、聞いてみて近々アップいたします。

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