水木しげる・ゲゲゲの幸福論


昨日、BSジャパンで放映した「水木しげる・ゲゲゲの幸福論」、
いや~、素晴らしい番組でした。
やっぱりBSは最大公約数に合わさない分、良い番組を作りますね。

(いや、テレビ局が思ってる”最大公約数”は単なる思い込みかも)。

先週、このブログでご紹介した宮崎進先生同様、
水木先生も兵隊にとられていたわけですが、
シベリア抑留とニューギニアではだいぶ違いますね。
極寒の中の強制労働と、南国の戦線で、時々原住民の中に入っていた環境では、
当然、違うのは当たり前かもしれませんが。

ともかくも、こういった生死の境を経験した人と、
私たちのように、それを知らない世代の人間では気構えが違う。
それなのに、あの兵隊に行った世代の人に共通した、
一種の明るさ(というか開き直り?)って、いったい何なのでしょう。

ご本人が妖怪そのものみたいな水木しげる先生ですが、
被写体になっても、抱腹絶倒ものに面白い。
(岡本太郎に共通したおかしみかな)。

水木先生は朝食に、大ぶりのホットケーキ2つに、
ご自分のマンガと同じ表情で、目をひんむいてかぶりついていましたが、
私は「ゲゲゲの鬼太郎」に出てくる”悪魔ベリアル”を思いだしました。

悪魔ベリアルが江戸時代、カラス天狗に封印されていた魔力(玉になっている)を、
ねずみ男が割ってしまい、偶然取り戻す場面があります。

「おお、ひさしぶりのこの感触。もしかすると魔力が戻ったのかもしれない。
そうだ、長年食べたかったホットケーキを出してみよう」

「ホットケーキ!」
手の中に出てきたホットケーキ。

それを見てベリアルは
「おお、魔力がよみがえったのだ。ひひひひひ!」と狂喜するのです。
子供心に、悪魔がホットケーキで小躍りするなんてねえ~、
なんて思ってましたけど、水木先生・・・ご自分がホットケーキお好きなんですな。

生死の境をいく飢えを経験された方と一緒にはできませんが、
この食い意地には親近感を抱いた次第です。
やっぱり人間は食わないとね~。

画像は拙作「果実涅槃図」。
これはもちろん若冲の果蔬涅槃図(かりゅうねはんず)からとったもの。
ドリアンをお釈迦さまに見立てております。

水木しげる・ゲゲゲの幸福論” への6件のコメント

  1. Unknown
    BSは観そびれましたが
    今朝
    フジTVで水木さんご出演の
    トーク番組を観て
    “チャーミングやなぁ”と
    あらためて感心いたしました。

    ユーモアが世界を救うとつくづく。

  2. チャーミングやで
    かよままさん、おはようございます!

    今週、松屋でやってる水木しげる展に行こうと思ってます。
    水木先生を見てると、年をとるのも悪くないと思いますね。

    手塚治虫や石ノ森章太郎が早く世を去ったのは、
    徹夜続きの生活をしてたからだとおっしゃってましたが、
    それはそうかもしれません。

    のんびり楽しく、かな。

  3. 「ボクらの時代」
    私も日曜朝7時の番組「ボクらの時代」を見ました。ゲストの素顔が見れるこの番組がとても好きです。水木しげるさんが奥さまと出てました。とても素敵な方ですね。そうそう、銀座の松屋で「水木しげる展」をやってるんですよね。

    「徹夜」と「煙草」は寿命を縮めますね。

  4. 徹夜とタバコ
    naotさん、おはようございます!

    なるほど、88歳と78歳にして時の人ですね。
    昔から、私は水木先生を円山応挙以上の人だと思ってましたが、今後おそらくもっと評価は高まるでしょう。

    今日の「ゲゲゲ」は南方かぶれする水木しげるが描かれていて、面白かったです。

    徹夜とタバコ、たしかにそうですね。
    私はどーせ、若い頃から徹夜ができませんでしたから、両方あまり関係ありませんが。

  5. 残念
    その番組見たかったです。
    水木先生は南方に戦中いっていたとは。
    しりませんでした。

    かつて沖縄にも大勢そのような方々がおられました。

    沖縄の博物館で昨年、戦中、戦後南方で生活された方々が持ち帰った南方の踊りを見ましたが。
    草を見にまといそれはそれは可愛い踊りでした。
    南方は北の地とはまるで違う世界観のように思います。
    異世界です。
    南方の光は明るいです。

  6. 南国
    ゆきさん、おはようございます!

    たしかに沖縄はいっぱい人が死んでますね。
    あの明るい笑顔のかげに、その事実があったことは忘れていけないと思います。

    でも南国はいいな。
    東京も暑くてたまりませんが、
    涼しくなるとさびしく感じるのは私だけでしょうか。

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