日経にベラスケスの「インノケンティウス10世の肖像画」について書かれていると聞き、読んでみました。
なるほど、バックの赤はコチニールを使っているのですね。
昨年9月に行ったプラド美術館を思い出したので、久しぶりにブログ記事にいたします。
「インノケンティウス10世の肖像画」はベラスケスが2度目のイタリア旅行の時に残したものですね。
本物はローマのドーリア・パンフィーリ美術館というところにあり、奥まった一室に隠れるように設けられています。
ベラスケスの絵は近くて見ると、意外にさっくり描かれています。
肖像画というのは不思議なもので、描き込めば描き込むほど、本人から遠ざかってしまうことが多々あります。
「1年かけて完成した肖像画より、1分で描いた線画の方が本人に似ている」
ということは普通にあることですが、ベラスケスの場合、最小限の手のかけ方で、最大の完成度を生み出しているのがすごいところです。
また見ためだけが似てるだけでなく、本人の内面まで深く掘り下げているのが、ベラスケスの肖像画の最大の特徴です。
この「インノケンティウス10世の」肖像画は、特に遠慮なく本人の本質をあぶり出しています。
(強い猜疑心、現世欲、職務への不屈の情熱、とwikiでは記されています)。
教皇はこの肖像画を見た時、「Troppo Vero!」と言ったそうで、直訳すると、「あまりに真実だ」という意味だそうです。
イタリアでは「バレちゃった」みたいな、ネガティブに使われることもあるようです。
なんでもインノケンティウス10世は教皇になる前、大使としてマドリッドに滞在していたそうで、ベラスケスとは旧知の中だったそうですから、「おまえ、あまり本当のことを描くなよ」という意味で言ったのでしょうか。
しかしながらインノケンティウス10世は、ベラスケスへ彫像入り金貨を褒賞として贈りましたから、なんだかんだで気に入ったのでしょうね。
猜疑心が強く、現実を見て人をリードできなければ、カトリック総本山の頂点には行けませんから、教皇はそれなりの人物だったのでしょう。
「おまえ、わかってるじゃねえか」という気持ちもあったかもしれません。
ベラスケスは、ローマ教皇も道化も同じ視線で内面を描いた稀有な画家です。
ただ一人、違う視点で描かれた人物がいるのですが、それは当時の国王、フィリペ4世でした。



