「ウィーン・モダン〜クリムト、シーレ 世紀末への道」行ってきました〜必見です!

六本木の新国立美術館で開催中の「ウィーン・モダン〜クリムト、シーレ 世紀末への道」、金曜の夜に行ってきました。6時半からの入場でしたが、思ったり多くの人出にちょっとびっくり。それでもこの日は21時が閉館ということで、ゆっくり見ることが出来ました。

少し前に上野の東京都立美術館でクリムト展が開催されていたので、その流れかと思いきや……主役はクリムトとエゴン・シーレではあるものの、まさに18世紀初頭から20世紀初頭ど真ん中のウィーン美術の展覧会でした。

前半の展示は18世紀初頭、マリア・テレジアからエリザベート時代のハプスブルグ家から、ウィーン万国博覧会、そして19世紀末のアールヌーボーまでの流れを追ったものですが、これが意外に見応えがある。

実際にウィーンに行くと、意外なほど新しい建物が多いのですが、それはフランス革命からナポレオン戦争などで荒廃した欧州の建て直し後にできたものなんだそうです。

余談ながら、そのため映画「アマデウス」では、実際の舞台となったウィーンではなく、もっと古い建物が残るプラハでロケをしたんだとか。

19世紀末、それまで城壁となっていたものを取り壊し、あのリンク通りという大環状道路が出来上がったのですが、もちろんウィーンの建築や美術に大きな影響を与えたわけですね。

この時代のウィーンの様子を描いた俯瞰図などには興味津々。
当時の空気が肌で伝わってきます。

俗にウィーンは「音楽の都」なんて呼ばれますが、実際に行くと思った以上に音楽の都で、町のそこかしこに音楽や音楽家の足跡を見ることができます。

その中でウィーンの人が大好きな音楽家は、何と言ってもシューベルト。
貧しさの中に31歳で亡くなったという天才ですが、肖像画は残っているし、シューベルトを中心にしたサロンの絵画も展示されていて、あれあれ、この人って本当に貧しかったの? なんて思ってしまいました。
実際には友人のサポートなどで食べていたようですが、短い生涯の間に残した膨大な作品は、まさにウィーンの音楽。シューベルトがかけていた眼鏡なども展示されていて、実に興味深いものでした。

そして白眉はやはりクリムトの作品群。
ポスターにも使われている、エミリア・フローゲの肖像は、撮影可ということで大勢の人がスマホ撮影をしておりました。

私も数枚パチリと撮ったあと、じっくりと鑑賞。

顔と手以外はざっくりと描いていて、このあたりの手さばきの上手さというのは見習いたいところ。ま、真似しても足元にも及ばないんですが(笑)。
エミリア自身はこの肖像がお気に召さなかったそうです。素晴らしい肖像ですが、自分が思っている自分と違ったのでしょうね。

ルイ・ダヴィッドのレカミエ夫人も出来上がった肖像が気に食わなくて、未完成になったと言いましたから、男性が描く女性の絵って、ご本人が見たら何か違うのかもしれません。

意外に面白かったのが、クリムトとシーレのデッサンです。半ば師弟の関係だった二人は、デッサンを互いに交換しあっていたそうですが、出来上がった油彩作品は大きく違います。

女性が大好きなクリムトと、同じように好きなのになぜか屈折しているシーレの絵。

28歳でスペイン風邪、いわゆるインフルエンザで亡くなったシーレですが、これは長生き出来ない絵だなって思いました。
クリムトとシーレは同じ年に亡くなってますが、クリムトのデスマスクを描いたシーレのデッサンにその影が描かれているような気がしました。

ほかの画家が描いたエゴン・シーレの肖像は、自画像と違っておそろしく弱々しい。
実際に他人から見たら、そんな感じの人だったのでしょうね。

展示の終わりには、ロダンが作った作曲家マーラーの胸像がありました。
気難しそうなマーラーの胸像は彫刻だけに、本人生き写しな感じ。鵺みたいなマーラの長〜いシンフォニーが頭に浮かんできました。

ともかくも見応え十分な 「ウィーン・モダン〜クリムト、シーレ 世紀末への道」は8月5日まで開催中。必見です!

 

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