「アチャールくんと なかのわるい たまごたち」
Amazon流通にアップされました!
赤坂九丁目にある東京ミッドタウン、サントリー美術館で開催中の「川鍋暁斎展」に行ってきました。
近年人気の暁斎ですが、今回の展覧会の見所は暁斎の中でも“アカデミックな絵”が多く展示されていたことでしょうか。
川鍋暁斎といえば、妖怪やもののけの絵で知られた江戸後期から明治を生きた絵師ですが、実は狩野派の門を叩いたアカデミックな画家であることは、あまり知られてません。サブタイトルにもなっている「その手に描けぬものなし」 という言葉の通り、実に巧みな絵師であるというのが、今回の展覧会の目玉として実に興味深いものでした。
最初に師事した師匠が歌川国芳だったそうですが、国芳の素行がわるかったため、父親が辞めさせて狩野派の門を叩いたとのこと。聞けば、国芳に師事したのが7歳と言いますから、親が7つの子供に絵の道を志させるという、なんとも大らかな時代だったように思えます。
巧みに描かれた美人画や動物の姿に驚くとともに、さらに驚いたのが、病死した最初の妻の絵を描いていたことでしょうか。
今の時代では考えられないことですが、暁斎は8つの時に神田川に流れてきた生首を描き、周りを驚かせたと言いますから、この時代は今とは違うのですね。
生首を描く8つの子供にはびっくりですが、そもそも神田川から流れてくるというのですから、今の尺度でこの時代を考えてはいけないということでしょうか。
晩年近くになって、暁斎は国芳時代の自分の姿を描いてます。
7つ8つの幼子ですから、それは可愛かったでしょうけど、それにしても自分のことをここまで可愛く描くかって感じ(笑)。
注文が多すぎて、絵が追いつかないよ……なんて自分の姿を描いてますから、けっこう自意識の高い人だったのかな。
↓ ちなみにこちらが今に残る暁斎の写真。なかなか強烈です!(wikiより)
ともあれサントリー美術館の企画にハズレなし。
休日の2時くらいに行くと、若い女性の学芸員さんのお話を聞くことができますので、展覧会の前に聞いておくのも良いでしょう。