かねてから見たかった東京都美術館で開催中の『ミロ展』、ようやく昨日行ってきました。ミロは好きな画家ではあったものの、今までじっくり見たことはありませんでした。
ミロの絵画は一見、抽象画のようでありながら、具体的なモチーフがあります。そしてそれが詩と深く結びついている…と言えば、わかりやすいでしょうか。
ミロ(1893〜1983)の作品の変遷は、比較的わかりやすい変化をしています。上記のサイトをそのまま、まとめてみると…
1、地元スペイン・カタルーニャで自己の表現を模索していた時代(1910s〜1920s)
2、パリ、シュールレアリズム時代(1920s)
3、戦禍を逃れていた時代(1930s〜1946)
4、アメリカで成功し、名声を確立した時代(1940s〜1960s)
5、晩年、大作を発表し続けた時代(1970s)
▼こちらはスペインリーグ、バルサのポスター。ファンだったんですね〜!
20世紀の美術は、ピカソや藤田嗣治のように、そのスタイルが複雑に変化していった人が多いのですが、ミロの場合は以上5つの時代にスッパリ分けられているのが興味深かったです。
どうやら生真面目でストレートな性格の持ち主だったようです。
ミロは豊かな宝石商の家に生まれましたが、当時のヨーロッパは第一次大戦がはじまる前の不安定な時代、スペインも経済的に不安定だったそうです。
美術学校に通っていたミロですが、親はその情勢を鑑み商業学校に再入学させ、バルセロナの大企業に会計士として就職しました。
どう考えても画家と会計士というのは合わなそうで…実際にミロは腸チフスとウツになって退職したようですが、私の感想では、数字を扱う仕事はミロの絵画のプラスになったのではと思いました。
実は芸術と数字は相性が良いのですが、その話は別の機会に。
さて、この展覧会の目玉ですが、3の戦禍の時代に書かれた『星座』シリーズですね。
2のパリ時代、シュールレアリズム時代の明るいユーモラスな画風から一転して暗い影を落とします。
この時代、先日見たアルプやフジタなどにしてもそうですが、どんなに成功した芸術家でも戦禍の影響を受けなかった人はいなかったようです。
スペインも内乱やフランコ独裁、第二次大戦の戦禍をまともに受け、それはミロも同様でした。
この時代に制作された『星座』シリーズは全23点。
そのうち3点が展示されていますが、それは意外なことに水彩で描かれた比較的大きめの絵画でした。
タイトルも『カタツムリの燐光の跡に導かれた夜の人物たち』のように、詩的で謎めいているのですが、注目したいのがこの時代の色使いです。
戦禍の影響で暗いトーンなのはもちろんですが、目につく色は、赤・黒・黄色…。
どこかで見た配色だなと思っていたところ、思い出しました。
この国旗は19世紀初頭にあったそうで、大戦中のナチスが使っていたのはあの鉤十字ですから、関係ははっきりしませんが興味深いところです。
戦後のミロは、解放されて本領を発揮!