先週の週末土曜は、友人の噺家・柳家花飛(やなぎや・かっとび)さんの真打公演を、浅草演芸場で堪能いたしました。
花飛さんには何度も個展にお越しいただいてましたが、実は噺を聞くのは初めてでした。
噺家とは思えない無口な方なのですが、会話の端はしでこぼれる言葉が何とも味があって、この人の落語は面白いに違いないと思っていたところの、真打昇進公演です。
実は花飛さん。発達障害があるとのこと。ご自分でもそれを公開してますが、何の障害だか聞いておりません。
仕事がら、発達障害に関するイラストはいっぱい描いてますが、 落語が面白ければそれでいいかな。理科大ご出身…ちゅうか、在学中に落語家に転身したようですが、勉強ができるタイプの発達障害だったようですね。
寄席には何度も足を運んだことがありますが、真打昇進公演は初めてのことでした。
テレビでもおなじみ、師匠である柳家花緑さんをはじめとする、柳家一門の名人たちが花飛さんの前に一席…新作落語あり、ちはやふるの『崇徳院』などの古典あり。
柳家一門、家族感があってなんとも暖かい感じが素晴らしいです。
漫才あり、都々逸らしきものあり、曲芸あり。
バラエティに富んだ演目が実に楽しい!
さて肝心の真打・柳家花飛さんの演目は(あとで調べてわかったのですが)、『田能久(たのきゅう)』という、四国の民話をベースにした噺ですが、いや〜引き込まれました!
阿波の国(徳島)のある男が、山向こうで暮らす母の危篤の知らせを聞き、故郷へ帰る山中でうわばみの精に出くわし、あわや呑まれそうになる…という噺です。
男と白髪の老人に化けたうわばみのやりとりは、怪奇趣味たっぷり!
名人と呼ばれた、六代目三遊亭圓生師匠がまとめた噺のようですが、円朝作の『牡丹灯籠』に通じるものがありますね。阿波の国の山中の様子が脳裏に浮かんできます。
噺に入る前の枕で聞いたことによると、花飛さん三歳の娘さんは、この噺の稽古をすると口をふさいでくるそうですが、それもうなずけますね(笑)。
高座で見る花飛さんは風格タップリ。
噺のあとで舞を披露してくれましたが、それも拡張高し!
一門の方々の言葉通りに、思わず応援したくなるキャラクターも、この人の魅力でしょう。
柳家一門の紹介に、柳家花飛作の新作落語が面白いとのことでしたが、今度はオリジナルストーリーを聞いてみたいものです。