「もっきり屋の少女」のオマージュ作品をお見せ致します。

昨年の展覧会より早や2か月余り。
いちばん目立たなかったと思われる作品を公開いたしましょう。

こちら、つげ義春先生の「もっきり屋の少女」のオマージュ作品であります。

つげ義春先生といえば、あの「ねじ式」や「ゲンセンカン主人」などの作品で知られるマンガ家ですが、この「もっきり屋の少女」も味のある作品でした。
短篇作品で、スジはあってないようなもので、「もっきり屋」という田舎の居酒屋で働く、コバヤシチヨジという少女の話なのですが、概要はこちらをお読みください。

こちらはスジがどうこうというより、会津弁をベースにした言葉が面白く、美少女コバヤシチヨジが「にしらはろくな銭もねいくせに、海や山だとけつかる。ほんとうにたまげたもんだ」などという、ちょっと口にしたくなるセリフが満載されています。

なんで、今更このマンガのオマージュを描いたのかというと、この絵のモトは私が浪人時代に描いた作品がモトだったからですね。

今は潰れてしまった「東横美術」という美大専門の予備校が自由が丘にあり、私はそちらに通っておりました。
一浪目だったでしょうか(二浪しましたので)、「風景と静物をミックスしなさい」という課題が出されたのです。

静物のモチーフは予備校にセットされてましたが、風景は自分で自由に描いていいという課題でした。静物は確かキジの剝製が置いてあった記憶があります。

私はキジの剥製のバックに、つげ先生の「もっきり屋」の茅葺を選んで描いたのですが、これが講評会で大爆笑。もちろん、美術の勉強を始めたばかりの下手くそな絵だったのですが、失笑というより嘲笑に近い笑い声だったのを覚えています。

提灯に書かれた「もっきり」という文字がよほど可笑しかったのでしょうね。

今なら、ダジャレに誰も笑ってくれないのですから、嘲笑でも失笑でも嬉しく感じるかもしれませんが、当時はまだ18歳の少年ですから、いや〜恥ずかしかったのなんの!当時、つげ先生のマンガに心酔していたので、もちろん大真面目に描いたのですが、まあ若かったのですね。

某高等学校の校長室に飾られた拙画です。

今では、この絵は失われてしまいましたが、下手ながらインパクトがあったようです。

先日、「もっきり屋」の話が大学時代の同級生・虹色社の山口さんの口から出て……彼は予備校が違うので、その現場にはいなかったのですが、当時の私の実家で実物を見たのでしょう。

「あの絵はひどく下手だったけど、見てびっくりした」

というので、40年もした後で描いてみることにしました。
結果、展覧会でいちばん目立たない絵になってしまい、多分その時のインパクトには遠く及ばない作品になってしまいました。

このテーマでまた描いてみるか、別のモチーフにするか。
どちらにしても、その失われた「もっきり屋」は私の原点だったかもしれません。

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