ユングの部屋1

(The dark side of the brain)

さて、みなさま、夢の話に興味はありますでしょうか。
なに、そんなものには興味がない、
 リアクションに困ってしまう?  
 そう、確かに夢とは果てしなくとりとめのないものです。

しかし、私たちの脳髄に、
まだ人間がサルや鳥や爬虫類や両生類や
バフンウニやクラゲだった頃の
記憶が残ってると考えれば、
夢の話もあながち捨てたものではありません。
もしかすると夢には脳の古い皮質にある情報が隠れているかもしれません。
 では、みなさまと私の脳髄をリンクさせて、
トリップいたしましょう。
そうそう、出かけた地点はしっかり覚えておいてください。
さもないと、もとの世界に帰れなくなるかもしれないから……。


鳥は野火のもとに舞いおりる

「シエスタおじさん」の冒頭に出てくる'マーケット'は、
最初の部屋で描かれている3点の世界を表現しています。

こでは恐ろしい世界を表現しています。
 鳥は描かれてませんが、くさむらの中にひっそりと潜んでいます。
 人々はおびえ、争い、いがみあっていて、あまり良い世界ではありません。
 くさむらの向こうでは、何か恐ろしいことが起こりつつあります。


消え去ったナスターシャ

ナスターシャというのは、
ドストエフスキーの「白痴」に登場するヒロインの名です。
この絵はそのラストのバリエーションです。

小暮は学生時代にロシア(旧ソ連)の映画監督
アンドレイ・タルコフスキーを尊敬し、深い影響を受けました。
なかでも、この部屋の展示作品は
映画「ストーカー」で描かれた世界の洗礼を受けたものです。

「シエスタおじさん」における'マーケット'は、
「ストーカー」や「惑星ソラリス」などの
タルコフスキー作品に見られるように、
特定の土地や星、海などが
独自の意志を持つかもしれない? という設定です。
これはSFの分野ではタイムマシンなどと同様、
さまざまな人によって繰り返し描かれた古典的なものでありますが、
それは<神と人間>という
普遍的なテーマに結びつくと小暮は考えました。

詳しくは、そう……みなさま。
「シエスタおじさん」をお読みくださいませ。


何が国境で起こったか?

この作品だけは20代の時に描いたもの。
北朝鮮から謎の風船が流れてきた事件をヒントに描きました。
(ネット公開の部屋でも展示)。

これは不安な世界を描いた、私の最初の作品です。

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「ユングの部屋」は6部屋あります

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