「アチャールくんと なかのわるい たまごたち」
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顔真卿展も余すところ、本日を入れてあと三日。
会場は激混みという噂ですが、それでもこの故宮博物院の至宝は、どれほど待っても見る価値があります。
会場に入ってから70分待ち、80分待ちという「祭姪文稿」ですが、実はこの展覧会で見られるのは、顔真卿だけではありません。
国立博物館の平成館はご存知のように、特別展の大半は4つの部屋に分かれて展示されています。顔真卿の書は最初の部屋と2番目の部屋に展示されていて、最初の部屋には、なんとあの書聖と呼ばれた王羲之の書もあるのです!
祭姪文稿は2番目の部屋にあり、70分の行列のあと「祭姪文稿見たから、あとはもういいや」とタカをくくって、3番目の部屋に入ってびっくり!
故宮博物院のガラス天井にディスプレイされた、懐素の狂草があるではありませんか!
↓懐素の狂草、草書については、以下拙著「堪能故宮」よりどうぞ。
■草書、行書
書道に縁のない一般の人たちにとって、草書は読めないので知られる書体ですね。私も書家の母を持つ立場でありながら、実は草書はチンプンカンプン。よく読めない字のことを「達筆過ぎて読めない」なんて言いますが、もともと早く書くために簡略化した文字なので、それも当たらずとも遠からずかもしれません。草書は文字ごとに決まった省略の仕方があり、それも何パターンかあるために、知らないと読むことも書くこともできません。
ところで、草書は隷書を崩したものがはじまりだと言います。似ても似つかぬ両者で、横広でカッチリした隷書が、どうやって奔放に流れる草書になったのかはわかりません。ただ、初期の頃は一字一字崩していく形式をとっており、続け字で崩すようになったのは3世紀・漢の時代と言いますから、きっと時間をかけて徐々に変化していったのでしょう。
草書をさらに崩したものに「狂草」があります。ほら、故宮の入り口にあるガラス天井にディスプレイされた、自由奔放な書があるでしょう? あれは唐代の書家であり僧であった懐素という人の筆による狂草です。文字というよりは、一種の抽象絵画のような趣です。
行書は草書を整えたものと言われ、糸を引いたような筆さばきの草書に対し、もう少し一字一字キチンと書いているのが特徴です。行書の名手としては、かの王義之の名が真っ先に上げられます。
さらには、日本三筆と呼ばれる空海、嵯峨天皇、橘逸勢の書!
特に空海は草書という、なかなか見られないものも展示されてあり、書家の息子ながら書に不調法な私でも楽しめる展覧会でした。
空海は唐では五筆和尚と呼ばれ尊敬されていたそうですが、台湾や中国から来た観光客たちも神妙に日本の書を見ていたのが印象的でした。
日本の書は大陸の書に比べ、(どちらが良いというのではなく)たをやかで繊細で、明らかに同じ書でも違います。
同じ漢字でも、見ていて言語の違いを実感できるのが不思議なところでしょうか。
たっぷり2時間半、書の世界を堪能したあとは、上野・梅の花で豆腐三昧。
母もご満悦でよかったです♪